1 ビタミンC補給にはリンゴがおすすめ Mon Apr 11, 2011 6:53 am
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リンゴは、イギリスでは「1日1個のリンゴは、医者を遠ざける」ということわざがあるなど、古くから世界各地で健康づくりに役立つ食べ物とされてきまし
た。でも実際に、ビタミンやミネラルなどの栄養を他の果物と比較しても、リンゴは、それほど優れているわけではありません。
けれども、リンゴには不思議な力があるのです。体内のビタミンCを増やしたり、ダイエットや生活習慣病を予防するなど、旬の今の時期にはしっかり食べたいおすすめのフルーツです。
<CONTENTS>
<li>リンゴはビタミンCが少ないけれど、ビタミンCを増やす?……P.1
</li><li>ダイエットや生活習慣病予防に注目されるリンゴ……P.2
</li><li>廃棄物のリンゴも無駄なく使って健康に……P.3
リンゴはビタミンCが少ないけれど、ビタミンCを増やす?
リンゴには、ビタミンCはわずか4mgしか含まれていません。私も、以前栄養成分表を見て、「あれっ、リンゴって、こんなにビタミンCが少ないの?」と意外に思ったことが印象に残っています。
上の表を見てもわかるように、リンゴは他の果物と比べてビタミン、ミネラルが多い果物ではありません。特にビタミンCが少ないですよね。でも不思議なことに、体内のビタミンCを増加させる働きがあるのです。
1日2個でサプリメント500mg分?
独立行政法人 農業・生物系特定産業技術研究機構 果樹研究所で平成11年に行われたヒト介入研究の結果では、血液中のビタミンCがリンゴを摂取すると34%も増加しました。
被
験者14人(平均45才)に1日1.5~2個(360~480g)のリンゴを3週間毎日たべてもらい、血液中のビタミンCを測定しました。また、リンゴ非
摂取期間を前後各2週間もうけ、リンゴ摂取期間と比較しました。その結果、リンゴを摂取すると、血液中のビタミンCが摂取前より34%増え、摂取を中止す
ると減少しました。
フランスで行われた動物実験でも、血液中のビタミンCが2倍となり、肝臓や副腎内でも増加したと報告されています。こ
うした実験結果から、リンゴにはビタミンCを効率よく体内に取り込むのを助ける成分が含まれているため、含有量から予測される以上に血液中のビタミンCが
増えると考えられました。
また国立がんセンターで5年間行った調査によれば、サプリメントでビタミンCを1日50mg摂取したグループの
血液中のビタミンCの増加量は13.0%で、500mg摂取したグループでも増加量は38.5%でした。リンゴ摂取で血液中のビタミンCが34%増加した
ことは、1日に約500mgのビタミンCのサプリメントを摂取したことと同等になります。果樹研究所では、「ヒトの健康に役立つ栄養素を摂る場合、サプリ
メントではなく食品から摂取する方が効率的であることも示している」と述べています。
食べ物には、まだまだ未知の部分がある
サプリメントを極端に愛好する人の中には、食べ物よりも栄養価や機能性は高いし、食事をしなくてもいいので忙しい現代人には便利という人もいるのですが、私はそんなに単純なものではないと思っています。
ビ
タミンCや、食物繊維、ペクチンなど、リンゴに含まれていると思われる成分を単純に混ぜたからと言ってリンゴになるわけではありません。健康や美容に有効
だという成分を濃縮したサプリメントなどをすべて否定はしませんが、食べ物にはまだまだ人間には未知なる成分や働きがあり、様々な成分が作用し合ったり、
相乗効果をもたらしたりしています。食べ物として摂取することの大切さを、改めて感じました。
今注目されているリンゴの成分については、次のページで>>リンゴポリフェノール
リンゴには、プロシア二ジン、カテキン、エピカテキン、クロロゲン酸、ケルセチンなど様々なポリフェノールが含まれ、それらをまとめて「リンゴポリフェノール」と呼ばれ、リンゴ1個の果肉に100~150mg含まれています。
ポリフェノールは、カラダを酸化させてDNAを傷つけ、生活習慣病の要因の一つとされる活性酸素を除去する働きがあります。リンゴポリフェノールについては、様々な研究・調査の報告がされていますが。
例えばガン予防については、アサヒビール(株)R&D本部未来技術研究所は弘前大学医学部と共同(平成14年9月30日)で、
リンゴポリフェノールの抗腫瘍効果をマウスを使った動物実験と培養細胞レベルで検証し、リンゴポリフェノールはガン細胞のアポトーシス(細胞自殺)を誘導
することにより、細胞の増殖や腫瘍の増大を抑制することが示唆されました。リンゴポリフェノール中でもプロシアニジンが抗腫瘍に特に有効な成分群であるこ
ともわかりました。
さらに読売新聞(2004.10.4号)によると、アサヒビールと日本体育大学健康学科スポーツ医科学系教授の中嶋寛
之氏らの共同研究リンゴのポリフェノールには、筋力を増加させ、内臓脂肪量を減らす効果があるとの研究結果が発表されています。特にプロシアニジンやカテ
キンが、体内への脂肪の蓄積を強く抑制する働きがあることが明らかになりました。またリンゴの食物繊維ペクチンによっても中性脂肪を減らすということが認
められています。
ここで注目したいのは、リンゴポリフェノールは、中性脂肪が多いヒトでは減少幅が大きく、少ないヒトでは減少幅が小さいことから、中性脂肪を正常化するように働くという点です。
ま
たこれまでは、リンゴなどの果物は果糖が多いので血糖値の高い人は控えた方がよいという記述のものも多くありましたが、リンゴは血糖値を上げにくいことも
分かっています。中性脂肪が高い人、低い人、血糖値が気になる人、どんな人が食べても、リンゴの有効な機能成分が得られるのはうれしいことですね。
まだまだあるリンゴの注目すべき作用
注目されているリンゴポリフェノールの他にもペクチンやカリウム、リンゴ酸など、さまざまな成分も含めて、リンゴには次のような作用が確認されています。まだ基礎研究や動物実験の段階のものがありますが、これからさまざまな分野で応用されることでしょう。
・抗アレルギー作用
リンゴポリフェノールがアレルギーを引き起こす活性酸素を抑制する。 またペクチンも、ヒスタミン濃度を下げるという報告があります。
・コレステロール改善作用
リンゴポリフェノールが善玉コレステロールを増やし、ペクチンはコレステロール値を低減する作用があります。
・高血圧予防作用
リンゴポリフェノールは高血圧をひきおこすアンジオテンシンという酵素を阻害する作用があり、カリウムは体内の余分なナトリウムを排出することで高血圧予防に役立ちます。りんごを多く食べるという青森県のりんごの産地では高血圧が少ないことが知られています。
他にも、口臭、虫歯予防や、昔から知られている整腸作用などを初め、アルツハイマー予防、メラニン生成抑制作用、ストレス緩和、疲労回復、食品の酸化防止や天然色素の劣化退色防止の効果などの効果も認められています。
リンゴを無駄なく食べる方法については、次のページで>>リンゴの廃棄物も有効利用
このようにリンゴポリフエノールが注目される中で、リンゴの機能性を利用し、環境配慮にもつながる取り組みも見られます。
弘
前大学などの研究によると、ピンポン玉大の未熟リンゴのポリフェノール量は完熟リンゴの2.3倍もあるそうです。リンゴを栽培する過程で、品質のよいリン
ゴをつくるために、間引きされる実があるのですが、廃棄される未熟リンゴはポリフェノールの宝庫。青森県では、この廃棄される未熟リンゴに着目し、未熟リ
ンゴジュースに利用しています。
私
たちの生活の中では、食品の廃棄物は、年間5000万トンと言われています。食べ物を無駄なく利用することで、わたしたちの健康に恵をもたらし、そして廃
棄物減量にも役立つのはすばらしい取り組みですね。どんどん事業としても、また私たちの家庭でも、無駄なく食べるように工夫していきたいと思います。
リンゴの皮には実よりも多くのポリフェノールが含まれますし、ペクチンも皮と実の間に多く含まれています。できるだけ安全性の高いものを買って皮ごといただたいものです。そうすれば生ゴミの削減にもなりますね。
リンゴを丸ごと焼いて食べる焼きリンゴも、寒いこの時期はおすすめです。加熱することで抗酸化力が高まり、またオリゴ糖も増えて腸内の善玉菌を増やすので整腸作用も高まります。
ただし、いくらカラダによいからといって、リンゴだけを食べていては偏食になります。バランスのとれた食事プラスαで、せいぜい1日1個食べる程度でいいのではないでしょうか。
参考/
リンゴを食べて健康に(果樹試験場)
リンゴポリフェノールの抗ガン作用(Asahi)
■関連リンク
●リンゴ1個でアルツハイマー予防(介護)
●焼きフルーツで健康&ダイエット(食と健康)
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た。でも実際に、ビタミンやミネラルなどの栄養を他の果物と比較しても、リンゴは、それほど優れているわけではありません。
けれども、リンゴには不思議な力があるのです。体内のビタミンCを増やしたり、ダイエットや生活習慣病を予防するなど、旬の今の時期にはしっかり食べたいおすすめのフルーツです。
<CONTENTS>
<li>リンゴはビタミンCが少ないけれど、ビタミンCを増やす?……P.1
</li><li>ダイエットや生活習慣病予防に注目されるリンゴ……P.2
</li><li>廃棄物のリンゴも無駄なく使って健康に……P.3
リンゴはビタミンCが少ないけれど、ビタミンCを増やす?
リンゴには、ビタミンCはわずか4mgしか含まれていません。私も、以前栄養成分表を見て、「あれっ、リンゴって、こんなにビタミンCが少ないの?」と意外に思ったことが印象に残っています。
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「五訂日本食品標準成分表」より |
上の表を見てもわかるように、リンゴは他の果物と比べてビタミン、ミネラルが多い果物ではありません。特にビタミンCが少ないですよね。でも不思議なことに、体内のビタミンCを増加させる働きがあるのです。
1日2個でサプリメント500mg分?
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リンゴを食べると、体内のビタミンCが増量します。 |
被
験者14人(平均45才)に1日1.5~2個(360~480g)のリンゴを3週間毎日たべてもらい、血液中のビタミンCを測定しました。また、リンゴ非
摂取期間を前後各2週間もうけ、リンゴ摂取期間と比較しました。その結果、リンゴを摂取すると、血液中のビタミンCが摂取前より34%増え、摂取を中止す
ると減少しました。
フランスで行われた動物実験でも、血液中のビタミンCが2倍となり、肝臓や副腎内でも増加したと報告されています。こ
うした実験結果から、リンゴにはビタミンCを効率よく体内に取り込むのを助ける成分が含まれているため、含有量から予測される以上に血液中のビタミンCが
増えると考えられました。
また国立がんセンターで5年間行った調査によれば、サプリメントでビタミンCを1日50mg摂取したグループの
血液中のビタミンCの増加量は13.0%で、500mg摂取したグループでも増加量は38.5%でした。リンゴ摂取で血液中のビタミンCが34%増加した
ことは、1日に約500mgのビタミンCのサプリメントを摂取したことと同等になります。果樹研究所では、「ヒトの健康に役立つ栄養素を摂る場合、サプリ
メントではなく食品から摂取する方が効率的であることも示している」と述べています。
食べ物には、まだまだ未知の部分がある
サプリメントを極端に愛好する人の中には、食べ物よりも栄養価や機能性は高いし、食事をしなくてもいいので忙しい現代人には便利という人もいるのですが、私はそんなに単純なものではないと思っています。
ビ
タミンCや、食物繊維、ペクチンなど、リンゴに含まれていると思われる成分を単純に混ぜたからと言ってリンゴになるわけではありません。健康や美容に有効
だという成分を濃縮したサプリメントなどをすべて否定はしませんが、食べ物にはまだまだ人間には未知なる成分や働きがあり、様々な成分が作用し合ったり、
相乗効果をもたらしたりしています。食べ物として摂取することの大切さを、改めて感じました。
今注目されているリンゴの成分については、次のページで>>リンゴポリフェノール
リンゴには、プロシア二ジン、カテキン、エピカテキン、クロロゲン酸、ケルセチンなど様々なポリフェノールが含まれ、それらをまとめて「リンゴポリフェノール」と呼ばれ、リンゴ1個の果肉に100~150mg含まれています。
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リンゴポリフエノールは、中性脂肪を低減したり、がん予防など、様々な効用が期待されています。 |
例えばガン予防については、アサヒビール(株)R&D本部未来技術研究所は弘前大学医学部と共同(平成14年9月30日)で、
リンゴポリフェノールの抗腫瘍効果をマウスを使った動物実験と培養細胞レベルで検証し、リンゴポリフェノールはガン細胞のアポトーシス(細胞自殺)を誘導
することにより、細胞の増殖や腫瘍の増大を抑制することが示唆されました。リンゴポリフェノール中でもプロシアニジンが抗腫瘍に特に有効な成分群であるこ
ともわかりました。
さらに読売新聞(2004.10.4号)によると、アサヒビールと日本体育大学健康学科スポーツ医科学系教授の中嶋寛
之氏らの共同研究リンゴのポリフェノールには、筋力を増加させ、内臓脂肪量を減らす効果があるとの研究結果が発表されています。特にプロシアニジンやカテ
キンが、体内への脂肪の蓄積を強く抑制する働きがあることが明らかになりました。またリンゴの食物繊維ペクチンによっても中性脂肪を減らすということが認
められています。
ここで注目したいのは、リンゴポリフェノールは、中性脂肪が多いヒトでは減少幅が大きく、少ないヒトでは減少幅が小さいことから、中性脂肪を正常化するように働くという点です。
ま
たこれまでは、リンゴなどの果物は果糖が多いので血糖値の高い人は控えた方がよいという記述のものも多くありましたが、リンゴは血糖値を上げにくいことも
分かっています。中性脂肪が高い人、低い人、血糖値が気になる人、どんな人が食べても、リンゴの有効な機能成分が得られるのはうれしいことですね。
まだまだあるリンゴの注目すべき作用
注目されているリンゴポリフェノールの他にもペクチンやカリウム、リンゴ酸など、さまざまな成分も含めて、リンゴには次のような作用が確認されています。まだ基礎研究や動物実験の段階のものがありますが、これからさまざまな分野で応用されることでしょう。
・抗アレルギー作用
リンゴポリフェノールがアレルギーを引き起こす活性酸素を抑制する。 またペクチンも、ヒスタミン濃度を下げるという報告があります。
・コレステロール改善作用
リンゴポリフェノールが善玉コレステロールを増やし、ペクチンはコレステロール値を低減する作用があります。
・高血圧予防作用
リンゴポリフェノールは高血圧をひきおこすアンジオテンシンという酵素を阻害する作用があり、カリウムは体内の余分なナトリウムを排出することで高血圧予防に役立ちます。りんごを多く食べるという青森県のりんごの産地では高血圧が少ないことが知られています。
他にも、口臭、虫歯予防や、昔から知られている整腸作用などを初め、アルツハイマー予防、メラニン生成抑制作用、ストレス緩和、疲労回復、食品の酸化防止や天然色素の劣化退色防止の効果などの効果も認められています。
リンゴを無駄なく食べる方法については、次のページで>>リンゴの廃棄物も有効利用
このようにリンゴポリフエノールが注目される中で、リンゴの機能性を利用し、環境配慮にもつながる取り組みも見られます。
弘
前大学などの研究によると、ピンポン玉大の未熟リンゴのポリフェノール量は完熟リンゴの2.3倍もあるそうです。リンゴを栽培する過程で、品質のよいリン
ゴをつくるために、間引きされる実があるのですが、廃棄される未熟リンゴはポリフェノールの宝庫。青森県では、この廃棄される未熟リンゴに着目し、未熟リ
ンゴジュースに利用しています。
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焼きリンゴで、おいしく無駄なく食べましょう。 |
たちの生活の中では、食品の廃棄物は、年間5000万トンと言われています。食べ物を無駄なく利用することで、わたしたちの健康に恵をもたらし、そして廃
棄物減量にも役立つのはすばらしい取り組みですね。どんどん事業としても、また私たちの家庭でも、無駄なく食べるように工夫していきたいと思います。
リンゴの皮には実よりも多くのポリフェノールが含まれますし、ペクチンも皮と実の間に多く含まれています。できるだけ安全性の高いものを買って皮ごといただたいものです。そうすれば生ゴミの削減にもなりますね。
リンゴを丸ごと焼いて食べる焼きリンゴも、寒いこの時期はおすすめです。加熱することで抗酸化力が高まり、またオリゴ糖も増えて腸内の善玉菌を増やすので整腸作用も高まります。
ただし、いくらカラダによいからといって、リンゴだけを食べていては偏食になります。バランスのとれた食事プラスαで、せいぜい1日1個食べる程度でいいのではないでしょうか。
参考/
リンゴを食べて健康に(果樹試験場)
リンゴポリフェノールの抗ガン作用(Asahi)
■関連リンク
●リンゴ1個でアルツハイマー予防(介護)
●焼きフルーツで健康&ダイエット(食と健康)
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